ポーカーで最も重要なスキル「ブラフ」

バリューベットをサイエンスとするとブラフはアートで、上級者やプロと我々のようなアマチュアとの間で最も差が出る分野のプレイです。

ポーカーが上手い人というのはブラフが上手い人とほぼ同義と言っても過言ではありません。

この記事を読むと、どうしてもブラフができない、どうやってブラフを増やしていったらよいか悩んでいらっしゃる方が、

ブラフを始める第1歩を踏み出せるようになると思います。

是非最後までご覧ください。

ブラフとは

ポーカーの本質はエクイティの奪い合いだということ、

自分のエクイティから得られるバリューを最大化し、相手のエクイティを奪って自分のものにすることがポーカーの本質だとフォールドエクイティの記事で説明しました。

バリューの最大化はショーダウンの際に強いハンドを持っていることが必要で、

そのようなチャンスは運がよくないと来ません。よって、最もスキル差が現れるのは、

いいハンドを持っていなくても、ボードの文脈やポジション、スタックなどの状況をうまく利用したベットによって、相手をフォールドさせ相手のエクイティを奪うことで自分の利益を得る、すなわちブラフこそがポーカーで勝つうえで極めて重要になります。

ブラフをする際には、色々な変数を考慮することが必要なので、一朝一夕には身に付きません。私も正直あまり得意ではないですが、簡単なものから一つずつブラフの引き出しを増やしていくことで、少しずつ上級者のようなブラフができるようになると考えています。

今日は初歩的なものから中級者向けのテクニックまで、プリフロップからリバーまでブラフの類型を説明することで、どういったところからブラフを増やすことができるか、解説したいと思います。

プリフロップ

まずはプリフロップでできるブラフについて説明します。

最も簡単なものはスチールです。厳密にはブラフとは言えないかもしれませんが、ボタンからかなり広いレンジの弱いハンドでオープンレイズをしてブラインドを奪うというのは、広い意味でブラフになります。何度も申し上げていますが、スチールはポーカーで最も利益的なプレイなので、ぜひ頻度を増やすことにトライしてください。

次に3ベットブラフ、リスチールと言われるベットです。誰かがスチールしてきたときに、そのスチールに対してレイズをして相手をフォールドさせてポットを取ることです。

ボタンのレイズに対してブラインドから3ベットするのが典型的な例となります。

こちらも比較的簡単ですが、できていない人が多いと思います。

スチールとリスチールが比較的簡単なのは、ある程度、ハンドレンジ表に従って機械的にプレイすることができるからです。

既に紹介しているポーカースノーウィのプリフロップレンジやスペイン人の東京在住ポーカープロのZerosが最近公開したプリフロップレンジ表などを参考にして、プレイできるハンドを増やしてみてください。

PreflopVision

フロップ

フロップでできるブラフとして最初に挙げられるのは、コンティニュエーションベットです。ボードの文脈に照らしてブラフターゲットのコンボに対してベットをして、フォールドエクイティを獲得するというコンティニュエーションベットも、プリフロップほどではないですが、他のブラフよりは考慮要素が圧倒的に少ないので、比較的簡単に増やすことのできるブラフと言えます。コンティニュエーションベットとプリフロップレンジ表に従った3ベットリスチールを増やすだけで取れるポットの量にかなり差が出ると思います。

フロップでできるブラフの次の例は、コンティニュエーションベットに対するチェックレイズブラフです。これまで紹介したタイプのブラフと比べると変数が多く格段に難しいですが、チェックレイズブラフができる典型的なシチュエーションを一つずつ覚えてブラフの引き出しを増やしていくことがまず第一歩になります。

例えば、ボードテクスチャのときに紹介したBB側のエクイティが高いJTs、88にマッチしたフロップでピュアブラフのxrをしたり、フラッシュドロー、オープンエンドストレートドローなどのセミブラフチェックレイズ、フラドロ・ストドロのモンスタードロー、1オーバーバックドアフラドロ・ガットショットストレートドローなど色々なシチュエーションがありますので、またフロップでのプレイなどの記事を作りたいと思います。

3つ目は、コンティニュエーションベットを打たなかった相手に対するベット、ベットミストCBです。インポジションの場合はフロップで、アウトオブポジションの場合はターンで行うことになります。通常オリジナルレイザーはコンティニュエーションベットを60~80%の頻度で行うので、チェックをした場合は、弱気の表れとして、ベットをすることでポットを取れることが相当な頻度であります。上級者になるとチェックレンジを弱くしすぎないためにバランスを取るために強いハンドでもチェックしますが、強いときはベット弱いときはチェックというのが原則だということもあり、特にこちらがIPのときは、こちらに何もマッチしていないときでもベットすればポットを獲得できるシチュエーションはかなりというか驚くほどあります。CB率が高い相手程チェックした場合にベットすればポットが取れる可能性は高くなります。

ターン

ターンでのブラフも基本的には、フロップの場合と同じ類型になります。まず、自分がCBを打った場合に、ターンで相手に有利なカードが落ちなかった場合、こちらのレンジに有利なカードが落ちた場合に再度コンティニュエーションベットを打つ、ダブルバレルが挙げられます。また、OOPのコーラーについては、BMCBとチェックレイズブラフが打てることになります。

プリフロップのレイザーについては、フロップでチェックチェックで回った後に、OOPのコーラーが更にチェックを行って弱みを見せた場合にターンでCBを打つディレイドCBというブラフをすることが可能になります。

フロップもターンもブラフを行う場合は、ピュアブラフよりもセミブラフの方が有利となります。なぜならフォールドエクイティだけでなく、そもそもハンドにエクイティもあり、後のストリートで役を完成させた場合にバリューハンドに変わるからです。

リバー

リバーでのブラフはピュアブラフしか存在しません。リバーでのブラフに必要となるのは、相手の消極的なアクション、例えば、ORがフロップターンとベットしてきてリバーはチェックとか、コーラーがラグなリバーでチェックしてきた場合、特にターンチェックチェックで更にリバーもチェックしてきて弱みを見ているかどうかや、ブラフアウツと呼ばれるボードテクスチャに照らして相手のレンジの中にブラフターゲットのコンボを増やす引き目が出たかどうか、相手のレンジの中でコール可能なコンボを減らすブロッカーがこちらのハンドにあるか、相手のブラフターゲットのコンボをブロックしていないか、ショウダウンバリューがないか、が重要になります。

例えば、3枚のスートがある場合に自分がナッツをブロックするAを持っているとき、すなわちナッツブロッカーを利用したブラフや、フロップのドローを完成させるカードがリバーで落ちた場合にダブルバレルを打ってきたOOPのオリジナルレイザーがチェックをして弱みを見せたときでこちらがブロッカーを持っている場合のブラフなどです。

ハンドの例を見てみると、COからこちらが7d7sで2.5bb、BBが9bbの3ベットされてこちらが

コールしたハンドを考えてみます。

Kh5d4c CB9.5 c

8d DB19bb c

Qd で相手がチェックした場合は、

相手が弱みを見せている、♦を1枚ブロックしている、Kヒット、Qヒット、ミドルペアなどのブラフターゲットがあるなどから、

ビッグベットによるブラフをすることが可能となります。

バリューとブラフのバランス

最後に、非常に重要な概念を説明します。

ポーカーでバランスが重要となるのは言うまでもないことですが、ブラフのし過ぎ、しなさ過ぎは、成績に直結する致命的なミスとなります。ブラフをしなさすぎ、すなわち、バリューベットでしかベットしない場合には、ベットされたら降りていればよく、またナッツを持たれている場合にはレイズをされて大損害を受けるという状況になり、ポットが取れなくなるだけでなく、損失も大きくなるためです。

バリューベットにはコールしてもらい、ブラフベットにはフォールドしてもらうという理想的な状況を作る、正確に言うと、相手がバリューには降りてブラフにはコールして付け込まれないようにする、エクスプロイトされないようにするために、バリューとブラフの適切なバランスを取らなければなりません。

このときに参考になる概念がブラフ・バリュー比と呼ばれるものです。

リバーでポットベットを打つ場合、コールする側に付け込まれないようにするための適切なブラフとバリューのバランスは、ブラフ:バリューが1:2となるように頻度を調整することとされています。

ブラフ頻度をx、ベット額をb、ポット額をpをしたとき、最適な頻度xは、

x(p+b)+(1-x)(-b)=0となるようにxを調整する、

すなわち、相手が降りた場合の利益である「x(p+b)」と相手にブラフをコールされて失う損失である「(1-x)(-b)」が釣り合うようになるブラフの頻度であるxが適切な頻度となるからです。

このとき適切なブラフ頻度x=b/(p+2b)となります。

ポットベットのブラフを打つ場合、すなわち、b=pの場合は、x=p/3p=1/3。

バリューの頻度は1-1/3=2/3となるので、適切なブラフ:バリュー比は1:2となります。

同じ式で、リバーでハーフポットのブラフを打つ場合は、x=1/4でブラフ:バリュー比は1:3、

ポットの2倍のブラフの場合は、x=2/5でブラフ:バリュー比は2:3となり、ベット額が大きければ大きいほどブラフの頻度を増やすことが適正であることが分かります。

具体的な使い方としては、先ほどの77のリバーブラフの例で言うと、PioSOLVERで計算した結果でも、リバーのポットベットのコンボのうちフラッシュが3.9コンボ、セットが0.5コンボ、ツーペアが0.1コンボ、オーバーペアが1.3コンボ、トップペアが1.2コンボでバリューは7コンボ、ローペアとAハイの3.1コンボをブラフに回すことで、ブラフ:バリュー比はおおむね1:2(1:2.26)になっています。

実は同じ計算で、ターンのブラフバリュー比、フロップのバリュー比も何%ポット打つかで計算できるのですが、複雑になるので、また遠い将来に、別の記事を作成して説明したいと思います。

因みに、ポットベットをフロップ・ターンで打つ場合は、ブラフ・バリュー比は、フロップ2:1、ターン1:1となります。

リバーで適正なブラフ:バリュー比を確保するためには、リバーで十分なブラフのコンボが残っていなければなりません。具体的には、フロップ・ターンでブラフのコンボ、特にリバーでバリューに変わらないピュアブラフのコンボを残していかないと、リバーで十分な数のブラフコンボが確保できなくなります。

これが、Twitterでよく議論される「フロップやターンでブラフのレンジ(コンボ)がなければ、リバーで適正な比率のブラフが打てなくなる」、「ターンにちゃんとエアー(ブラフ)のコンボあるか?と言われてハッとした」という理由ですね。

ただ、リバーのことまで考えて、フロップやターンの時点でどの辺のコンボをブラフに残しておくか予め考えておくというレベルになると極めて高度な戦略となるので、私も全くできていません笑

まとめ

以上プリフロップからリバーまでのブラフの類型とブラフ・バリュー比の概要について、解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

ブラフはポーカーで最も重要なスキルであり、また、ブラフは何度もトライして試行錯誤することでしか上手くならないので、この記事を何度も見てから、実戦でブラフを試しつづけて、一つずつブラフの引き出しを増やしていってもらえればと思います。

実戦で試す場合、フォールドのときの反省と同じく、ブラフを失敗して打たなかったらよかったと反省するより、あそこはブラフを打ったらポットが取れたんじゃないか、このようなレンジもブラフに入れてブラフを打つべきだったんじゃないかと言ったポジティブな反省に努めることが重要だと思います。

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