上手いLAGの特徴
(1)引き際の見極めが絶妙
マージナルなハンド・状況でも、勝てると思った勝負ではガンガンアグレッシブにベットする一方で、負けると思ったらすぐに撤退できる柔軟性を持つ。前提として相手のスタイルを見極められる洞察力、適切な状況で適切なベットのできるアグレッシブさが必要。
この結果、プリフロップで大量の小さなポットを集めスタックの山を築く一方で、こちらがプレミアハンドを掴んだり、ポストフロップでセットやオーバーペアとなってもすぐに撤退されてしまうので大ダメージを与えられないこととなる。その一方で投機的なハンドでコールされたり、ポストフロップでミラクルストレート・トリップス等を引かれた場合にこちらがセット・オーバーペアなど強いセカンドベストハンドを持っていた場合大損害を被ることになる。
(2)スタックに応じたプレイができる。
SPRを常に考慮して、自分がイニシアティブを握るようプレイする。
オールインやコミットした(ように見える)ラストブラフは、スタックに応じてどのプレイヤーができるか決まる。
大体の感覚だが、エフェクティブスタックの10%くらいのレイズをやるプレイヤーが最初にイニシアティブを取り、その3倍のエフェクティブスタック3分の1のレイズをやるプレイヤーがラストブラフを行うことができ、その3倍のオールインをするプレイヤーが最終的なイニシアティブを取り、相手に最後の推測(“Last guess”)をさせることになる。
上手いLAGは常に相手に推測をさせプレッシャーを与え続けることで、フォールドエクイティを自分のものにしようとする。
この辺はこれらのコラムも参考。
http://d.hatena.ne.jp/shimadajp/20120530/p1
http://www.pokerdou.com/tournament/commit/
(3)心が折れない。
ブラフが失敗したり、リスチールをされたり、ビッグハンドに捕まって大ダメージを受けたとしても、スタックが許す限り、めげずにすぐに攻撃を再開する。
その結果、一旦スタックが小さくなったかなと思ってても、再度小さなポットを大量に取ることですぐにスタックが復活する。
ブラインド100-400-800でスタックが40BBの32,000まで減ったと思っても、1,600のミニレイズで1周のうち6回参加、5回スチール成功、1回失敗してたら、1周あたり7,000のプラスで1時間4周後にはスタックがほぼ倍の60,000に増えていることになる。
LAGへの対処
上記の事項ができていない下手なLAGはその弱点を突くとして、上手いLAGにどう対処すればよいのか。
自分なりの考えは以下のとおり。
(1)ロングボール
アグレッシブポーカーにも書かれているが、意思決定の回数を減らすことでミスの頻度を減らし、分散を大きくすることで自分にも上手い相手にも大きなリスクを取らせることとなるロングボールは、技量の劣る者に取って非常に有効な武器。
具体的には、ハンドレンジを広げたリスチールを行う。
3ベットリスチール(LAGがオリジナルレイザーの場合)、4ベットリリスチール(LAGが自分のレイズに3ベットしてきた場合)、時には5ベットスチール(LAGのスチールにリスチール3ベットしたところオリジナルレイザーのLAGに4ベットされた場合)など。
3ベットリスチールは、相手がLAGだと分かっていれば足りる(且つ自分がLAGだと思われていなければ足りる)が、4ベット・5ベットを行う場合には、相手に自分をライトベッターだと思われていると分かっていなければできない。そうでなければ、タイトな自分のレイズに3ベット・4ベットをしてきているのだから、相手がたまたまプレミアムハンドを持っていて、それにまんまとぶつかってしまうということになりかねない。
自分のイメージの見極めが非常に重要。
適切に相手の一つ上のレベルを選ばないといけない。
(このようなテーブルイメージを巡る攻防をレベリングウォーという。)
(2)ラストブラフイニシアティブ
LAGの特徴(2)でも書いたが、SPRを考えてラストブラフイニシアティブをこちらが取るようにベット額を調整する。
上手いプレイヤーほど将来の勝負ですぐに損失を取り戻し利益をあげられると考えていることから、その時点での生き死にの勝負は避ける傾向がある。技量の劣る者はそれを利用することができる。
早い段階で大きな生き死にを賭けた勝負を挑むことでフォールドエクイティが獲得できる。
(1)と共通しているが、微妙なハンドでもラストブラフを行う。
具体的には自分がエフェクティブスタックの3分の1のレイズをする順番に当たるようベット額を調整する。
ベット額を少なくするだけでなくリンプレイズやチェックレイズも行う。
合理的なレイズ額は2倍〜3倍くらいなので、誰がラストブラフイニシアティブを握るかは、いくら上手いLAGと言えどもLAGという戦略(≒スモールボール)を採用している以上コントロールできない部分が出てくるので、そこを突く。
こちらも再度参照。
リスチールに当たってはポジションも重要。上手いLAGはポジションのない場合には降りることが多い。
ただこの辺はポジションが悪いところからリスチールしてるのだからいいハンドを持っているのかもしれないといったバイアスもかかるので、テーブルイメージなど他の要素と併せて考慮する必要もある。
(3)折れない心
こちらも心を折られずに(1)(2)に何度もトライしなければならない。
スタックが許す限り何度でもやる。
スタックが少なくなれば、ハンドを絞って15BBくらいのスタックのときは3ベットオールインスチールを行い、それ以下の場合にはオープンオールインを行う。
この辺りはアグレッシブポーカーの「第3章 終盤の基本的な考え方」「第4章 均衡プレイ」も参照。
以上とりあえず今思いつく限りのLAGへの対処法のまとめでした。
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