はじめに
2017年に出版されたMatthew Jandaの「No-Limit Hold ‘em For Advanced Players」は、
この5年間のポーカートレーニング業界における最大の進歩として、高機能なソフトウェアの発展、特に「人口知能(AI)」と「最適解分析ツール(Solver)」の2つが挙げられるとし、
前者の代表例が「PokerSnowie」(ポーカースノーウィ)、後者の代表例が「PioSOLVER」(ピオソルバー)と紹介していました。
インターネットをポーカートレーニングの「高速道路」に例えた当ブログがスタートして、10年以上が経ちましたが、その後、ハンド解析ソフト(ポーカートラッカー等)など色々なツールが現れましたが、このPokerSnowieこそ新しい「高速道路」と呼べるツールと言えるのかもしれません。
AIとソルバー
AIがゲームをプレイするというのはインベーダーゲームの時代からありましたが、現在のAIは極めて高度になっており、囲碁の世界チャンピオンを破ったAlphaGOをあげるまでもなく、ある意味人間の頭脳を凌駕するほどになっています。
囲碁や将棋のような完全情報ゲームだけでなく、不完全情報ゲームであるポーカーについても、テキサスホールデムのヘッズアップでは、2017年1月にカーネギーメロン大学の開発したAI 「Libratus」がDong Kimなどのトッププロに圧勝するほどになっています。
1,000台以上のサーバを使用するAlphaGOや、通常のPCの2,000倍の計算速度(1.35ペタFLOPS)を持つスーパーコンピュータを使用するLibratusでなくても、個人がPCで使用可能なAIが2013年に開発されました。
それがポーカースノーウィです。
もう一つの進化がソルバーと呼ばれる分析ツールです。ソルバーは、所与の状況で、どのようなレンジの相手にどのようなアクションを取ることが「均衡的」か実際に計算してくれるプログラムです。(均衡プレイについては、「アグレッシブポーカー」第4章参照。)
相手がどのようなプレイをしてもこちらの利益が失われないナッシュ均衡的なプレイがどのようなものか、個人で計算できるツールは、アグレッシブポーカー発刊時には存在しませんでした。
今では、ピオソルバー(2015年公開)によって、ヘッズアップ状況下で、①自分と相手の想定レンジ、②ポット、③エフェクティブスタック、④ボード(フロップ、ターン、リバー)、⑤アクションの選択肢(ベット(複数のベット額)、フォールド、コール、レイズ(複数のレイズ額)を設定した上で、各ストリートでどのようなアクションを取るのが「均衡的」か計算する事が可能となりました。
ポーカースノーウィとピオソルバーという2つのツールを駆使して、自分のプレイを検証することは、中級プレイヤーを脱するのに非常に有用なのではないかと感じています。
世界でいちばん分かりやすい「ポーカースノーウィ」入門
ポーカースノーウィは、人間の頭脳を模したニューラルネットワークを使って自分自身と何兆ものハンドをプレイすることで、どのようにポーカーをプレイするのが期待値プラスかを追及するAIソフトです。
試行錯誤を繰り返し、自ら戦略を洗練化させ、均衡解までには至りませんが、2015年、2016年と自らを進化させ、Matthew Jandaだけでなく、Daniel Cates、Johnathan Little、Ed Millerなど多くのプロに高く評価されているソフトです。
具体的には、ポーカースノーウィを使うことで、
- 自分のプレイの適否をAIによって診断したり、
- 実際にスノーウィとプレイすることができます(スノーウィトレーニング)。
これによって、リアルタイムでプレイ診断を得たり、終了後にプレイの適否の診断を行うことで、スノーウィが正しい(期待値プラス)とするプレイと自分のプレイが、どのように乖離しているかを見ることができます。
ポーカースノーウィの使い方
こちらからポーカースノーウィをダウンロードしてください。試用は10日間無料です。
アカウントを作ってログインするまでは、試用期間はスタートしません。
たった10日間しか試用期間はないので、本記事をよく読んでから開始することをオススメします。
スノーウィトレーニング
スノーウィトレーニングは、1人(ヘッズアップ)から最大9人までのスノーウィと同卓してプレイすることができる機能です。
対戦人数、レート、アンティの額、持ちチップ量(200bbまで)を自由に設定できます。
また、シングルテーブルトーナメント(Freezeout(ノーリバイ))か普通のキャッシュゲームか(Cash)も選べます。
トーナメントモード
ブラインドの上がるスピードもターボ、スタンダード、スローの3種類から選べます。
ブラインドは、ターボは5ハンドごと、スタンダードは10ハンドごと、スローは20ハンドごとに1レベル上がります。
10-20から始まって、初期スタックも200bbまで自由に選択できます。
アンティの有無も選択できます。(25-100-200からアンティは始まります。)
キャッシュゲームモード
キャッシュゲームモードでは、1時間で1面あたり大体300~400ハンドくらいプレイできます。2面まで多面プレイも可能で、自分のハンドをフォールドしたら次のハンドに移るファーストフォールド機能も搭載しているので効率的です。
特定のポジションでのトレーニング
ボタンのプレイだけ、BBのプレイだけといった形で、特定のポジションでのプレイのみをトレーニングすることも可能です。
この機能によって自分の苦手なポジションだけトレーニングすることができます。
また、自分のポジションまでフォールドまで回って来る場合のみにシチュエーションを限定する(オープンレイズができる場合のみに限定する)こともできます。
ライブアドバイス機能
スノーウィトレーニングをプレイ中にリアルタイムでミスを指摘してくれるライブアドバイスの機能もあります。
また、大きなミス(Blunder)のみライブアドバイスが出るように設定することが可能です。
最初は、普通にライブアドバイス機能をOnにしておくとよいと思いますが、慣れてくると、細かいミスでも毎回毎回アドバイスが出てきて煩わしいので、慣れてくればBlunder(大きなミス)のみリアルタイムで表示されるようにして、あとは復習に回すのが効率的だと思います。
ファストフォールド
自分のアクションが回ってくる前にフォールドすることも可能です。
これでより多くのハンド数がトレーニングできます。
(ただ、実際使ってみた感じだとそこまでファーストフォールドボタンを使う機会はありません笑)
プレイを終えるときには、右上のウインドウを閉じる×ボタンをクリックしてから、
↓のQuitのボタンを 押せば終了できます。
ハンド解析
スノーウィトレーニングでプレイしたハンド(や他のオンラインポーカーソフトでプレイしたハンド)は、インポートすることによって、各種データをチェックして、自分のプレイの分析を行うことができます。
まずインポートタブをクリックします。
次に、プレイしたセッションを選択し、「View analysis」をクリックすると、セッションが解析されます。
概要
まず「Overview」として概要が示されます。
全体的な誤り率が「ERROR RATE」として示されます。このセッションは3059ハンドで9.34(%)と出ています。これでもEXPERTレベルなんですね。
診断結果は、0~4%のEXTRA-TERRESTRIAL(ET。地球外生命体)、4~8%のワールドクラス、8~12%のエキスパート、12~16%の上級者、16~20%の中級者、20%以上の初心者にクラス分けされれています。
ミスのチェック(Error details)
下段左に出ているBLUNDERSは致命的ミスのことで、このセッションでは29回あり、その結果、$6798.48の期待値マイナスが生じたと診断されています。
下段右のPROFITは、全体の利益で$30,292と出ています。1ハンドごとの利益は$9.90です。
More error detailsをクリックすると、個々のミスプレイの診断結果を見ることができます。
また、Browse your blundersをクリックと、致命的なミスのみを見ることができます。
この2つが最も使う機能です。
まず、Browse your blundersをクリックして致命的なミスをチェックしてみます。
ここではリバーでフラッシュ目のカードが落ちた場合にフルハウスをチェックしたのが誤り(WRONG)だと診断されています。
スノーウィは0.25potのベットをすべきと診断しています。チェックの期待値が21.51で0.25ポットベットの期待値が24.05なので、これにより期待値を2.54取りこぼしていると出ています。
因みに、タブをクリックすると0.5ポットベット(ハーフポット)~2倍ポットベットまでの期待値も見ることができますが、
ハーフポットベットの期待値は21.51でチェックと同じ、ポットベット及びポット倍ベットは、期待値がチェックより下がっています。
このような検証を繰り返すことで、より期待値の高いバランスの取れたプレイラインに近づくことができます。
左上のStatisticsを押すと先程の画面に戻ります。
次に致命的ミスではないミスを見てみます。
More error detailsか左側のError detailsをクリックすると、ミスの詳細画面に移ります。
ここでは、プリフロップのミスが314回、フロップが122回、ターンが36回、リバーで14回ミスが出ていることが分かります。(更に致命的ミス(Blunders)の回数もそれぞれ分かります。)
それぞれの数字をクリックすると、具体的にどのようなミスをしたのかがチェックできます。
UTGの3倍レイズにMPがコールでCOからQTsをコールするのは間違いだと出ています。
理由として「ポジションがあってもQTsはコールドコールするには弱すぎる。他のプレイヤーはもっと強いハンドを持っている可能性が高く、AQsでもコールするには十分でない」と言っています。
右上の「>」をクリックすると、次のミスに移ります。
ここではボタンの33でCOのレイズをコールしたのですが、フォールドすべきと出ています。
「COのプレイヤーのレイズレンジは広く、ポジションがあるが、それでもコールドコールするには77+のハンドが必要」とのことです。
COのレイズにボタンからA5sでコールしたのは誤りで、ポットレイズすべきと出ています。
「コールの方がフォールドよりはよいが、このハンドはブラフレイズするのに完璧。Aを1枚ブロックしているので、相手がフォールドしたり他のプレイヤーがリレイズする可能性を減らしている。コールされてもフロップでハイペアやナッツフラドロ、ガットショットストドロを引く可能性もまだある」とのことです。
このようなアドバイスはプリフロップのミスでのみ出てきます。
バランス(Balance)
左のBalanceをクリックすると、ハンドの強さに応じたアクションのバランスが取れているかどうかがチェックできます。
100%がスノーウィが取るラインと同じで、これより多い場合には「・・・し過ぎ」、少ない場合には「・・・しなさ過ぎ」となります。
上段のコールの数字を見ると、プリフロップとターンはコールしすぎ、フロップとリバーは適切にコールできているということが分かります。
また、中段のベットの数字を見ると、例えば、フロップではすべてのハンドで、ターンでは弱いハンドと中程度のハンドでベットし過ぎだということが分かります。
レイズについては、プリフロップは適切にできているものの、フロップは中程度のハンドでレイズしすぎ、強いハンドでレイズしなさ過ぎで、ターンも弱いほどレイズしている模様です。
スタッツ(Playing stats)
Playing statsのタブをクリックすると自分のスタッツ(統計データ)をスノーウィの数字と比較することができます。
珍しく大体適正ですねw
Opponentsのタブでは、同じく相手のスタッツを見ることができます。
過去のハンドヒストリーの分析
スノーウィトレーニングのハンドだけでなく、過去にPokerStarsでプレイしたハンドヒストリを読み込んで、同様に分析することができます。
右上のImportをクリックして、左下のImport folderをクリックして、PokerStarsのハンドヒストリのフォルダやホールデムマネージャー*1のハンドヒストリのフォルダを選択すると、直接インポートできます。
- PokerStarsの場合は、c\user\ユーザ名\AppData\Local\Pokerstars\handhistory
- ホールデムマネージャーの場合は、c\HM2Archive
にハンドヒストリは保存されています。
試しにホールデムマネージャーのハンドを読み込んでみましたが、Failedとなっているものは、なぜか原因不明で読み込み出来なかったもので、Analysedとなっているものが分析できたハンドになります。
クリックするとスノーウィトレーニングのハンドと同様に解析することができます。
その他
私は、毎日30分程度スノーウィチャレンジをやって、ミスをチェックしたり、ポット額やアクションを変えるとどのように期待値が変化するかなどをチェックしています。
更に、疑問が残る場合には、ピオソルバーで計算をして妥当かどうかを確認しています。(大体1日数ハンド。)
このほか、スノーウィには、架空のハンドの期待値を計算する「シナリオ」機能や、スノーウィが各ポジションのレンジをどのように見ているかを確認する「ハンドレンジ」機能があります。
詳しくは次の動画をご覧ください。
日本語機能
日本語で表示する手順は、
①左上のポーカースノーウィの緑のロゴをクリックして、「Options」を選択。
②一番上の「Language」の右側のタブから「日本語」を選択。
これで日本語画面になります。
「レーズ」など一部変な日本語もありますが、そこはご愛敬ということで・・・
加入プラン
PokerSnowieには2つの加入プランがあります。
具体的には、
- スノーウィトレーニングはどのプランでも可能
- 外部からのハンドヒストリの分析可能数に差がある。
(インターミディエイトプランだと月8000ハンドですが、プロプランだと12万ハンド!) - 架空のハンドによるシナリオ分析の数に差がある。(インターミディエイトプランだと月1200ハンドだが、プロプランだと3000ハンド。)
- スノーウィがハンドレンジをどう見ているかの分析(ハンドレンジ分析)やレンジアドバイスは、プロプランしかできない 、
- モバイルアプリは、両方とも無料で使用可。
といった差があります。
この記事をよく読んでから、試用期間10日間を十分に使って、自分にぴったりなプランを選択してもらえればと思います!
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*1:公式にはサポートされていないとのことですが、インポートできます。
※この記事はスポンサーの依頼により執筆されています。
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