ハンドレンジについて改めて考えてみる

ハンドレンジについて解説したいと思います。

コンビナトリクスでもご覧いただいたように、ハンドレンジが間違っていれば、そのレンジの中にあるコンボの数もそもそも異なる訳で、

正しい判断をするには、正しいハンドレンジの推定が必要になります。

これはコンビナトリクスだけでなく、いわゆるGTOでも同じです。ハンドレンジを正しく設定できなければGTOは計算できません。

スノーウィ的なプレイも全く同じです。スノーウィのレンジと相手のレンジがどのように違っているか分かっていなければ、正しいプレイをできません。

この記事の目的

・正しいプレイの基礎となるハンドレンジの推定の仕方が上手くなる

・いわゆるレンジで考えるという考方法の習得

の第一歩

この記事を読むと、正しいプレイの基礎となるハンドレンジの推定の仕方が上手くなるのと、いわゆるレンジで考えるという上級者が当然のごとく行っている思考方法を身につける第一歩となると思います。

是非最後までご覧ください。

ハンドレンジってそもそも何?

ハンドって自分も相手も2枚しかカード持ってないじゃん。レンジって何?って実は思ってても、人から言われたら、あー、レンジね、レンジ。レンジ広いよね。とか適当に合わせている人いませんか?私も最初はそうでしたよw

ご案内のとおり、テキサスホールデムでは、自分のハンド2枚と相手の持っているハンド2枚で戦います。ハンド対ハンドの戦いです。ショウダウンまでは、自分のハンドは分かるけど、相手のハンドは分かりません。相手のハンドはAKかもしれないし99かもしれない。65sかもしれない。JTかもしれない・・・というような状況が続きます。

相手のハンドが分からない状況でプレイを続けなければなりません。相手の状況が分からない中でベットすべきか、チェックすべきか、コールすべきかフォールドすべきか、レイズできるかブラフできるかを判断しなければなりません。

このような場合に、相手のハンドはAKに違いない!と1点読みでプレイを決めると、利益を最大化する/損失を最小化するための正しい判断ができません。たまたま当たってる場合には、結果としてたまたま正確な判断ができることになりますが、外れていた場合は、完全に間違った判断をすることになります。

なので、AKの可能性が高いけど、99の可能性があるな。AKの可能性が70%、99の可能性が30%という形で相手のハンドの想定範囲、すなわちレンジを広げていきます。これが65sも何%、JTも何%・・・と広がって行って、最終的に集積したものがハンドレンジになります。

このようにすることで、自分の判断の根拠となる相手のハンドの見積もりがより低リスクで行うことができます。

現代のポーカーでは、ハンドレンジは、コンピュータのシミュレーションでできたプリフロップのハンドレンジを起点として、フロップ、ターン、リバーのアクションで絞っていく形で想定するのが一般的です。

最も代表的なのが、ポーカースノーウィのプリフロップハンドレンジで、これはポーカーAIがAI同士で何兆ハンドもプレイをして、その中で最も利益的なアクションを取れたハンドを集めて作られています。因みに、Webで出てくるプリフロップアドバイザーは全く更新されていないようで、AI同士の対戦によるシミュレーションを基に定期的に更新されるポーカースノーウィのプリフロップレンジとかなり異なります。

最も厳密に計算されたプリフロップレンジだと言われているものが、プリフロップソリューションと呼ばれるものです。

計算方法を詳しく説明したものは見かけませんが、私が自分で計算してみて理解している範囲では、このような方法で作られていると推測しています。

①オープンレイザーのレンジを40%と規定

②BBのレンジを100%と規定

③フロップサブセットを全フロップ1755に設定(ここまでできるか不明)

④フロップ後のベット額を複数設定(できるだけ多く設定。最小は1つ)

⑤計算

このような計算には、①アクションの選択肢を網羅したツリーを作るために必要なメモリ、②それを計算するための強力なCPU、③計算時間が必要なのですが、

例えば、100bb持ちで487フロップの計算をするには、フロップ、ターン、リバーのベットサイズを1つに限定しても340GBのメモリが必要です。

普通のベットサイズ、33%、75%、125%にすると、8TBのメモリが必要です。

さらに計算するのに強力なCPUと時間が必要で、CPUが速ければ速いほど時間もかからないのですが、私が契約しているようなメモリ64GBの普通のサーバのCPUだと、1つのフロップを計算するのに数時間から半日かかるので、果てしなく時間がかかります。

この方法だと、40%のオープンレンジでのオリジナルレイザー・コーラーそれぞれの適切なプレイ、30%、25%のオープンレンジでの両者の適切なプレイなどは分かるのですが、そもそもボタンのオープンが40%がよいのか35%がよいのかとかはどうやって決めているか分からないので、もしご存じの方がいたらコメント欄やTwitterで教えてください。

閑話休題

そんなわけで今はスノーウィレンジが主流で、あとは高価なプリフロップソリューションがありますが、そこまで厳密にしなくても、例えばAAでレイズしないとか、27oでレイズするなど極端なことをしないというのを徐々に狭めていって、ある程度合っていればよいので、どれかを正確に1回覚えて、それを使うことから始めていけばよいと思います。

レンジで考えることの重要性

ハンドを単体ではなくてレンジで考えないといけないのはなぜか。

それは先ほども申し上げましたが、正しい判断ができなくなるから、正確に言うと正しい判断ができないリスクが高まるからです。

正しい判断とは、利益を最大化し、損失を最小化するアクションをとることです。

私の著書トーナメントポーカー入門の冒頭でも紹介していますが、

デビッド・スクランスキーは、「ポーカーの基本原則」として、「すべてのプレイヤーのカードを見ることができた場合と同じように自分がプレイできた場合には、その勝負に勝つことができ、また、すべてのプレイヤーのカードをすべて見ることができた場合と違うプレイを相手にさせることができれば、その勝負に勝つことができる」と言っていますが、これは今でも当てはまります。

相手のハンドが分かって、もっと言うと相手のアクションも分かれば、相手がコールする最大額のバリューベットを打って自分の利益を最大化し、相手がコールしするようなブラフを止めて損害を最小化することができます。

相手のハンドを特定することは基本的には不可能なので、これくらいの確率でA、これくらいの確率でB、といった形でグラデーションのあるレンジを想定して、正しいアクションを選択することことを目指すことになります。

ここで1点注意しておかないといけないのは、レンジにブラフがあるからコール、レンジにあるからフォールドみたいな機械的な判断、思考停止は避けなければならないということです。

1点読みは避けるけれど、レンジにあるからコールみたいな思考停止もやめるというように、両極端な考え方を行ったり来たりして、より正確にレンジ読みができるように努めていかないといけません。

ハンドレンジの推定方法

相手のハンドレンジを推定する手がかりにはこのようなものがあります。

  • ポジション/プリフロレンジ
  • アクションライン
  • ショーしたハンド
  • アクションの頻度(ハンドヒストリー)

ポジション/プリフロレンジ

ちゃんとポーカーを勉強している人であれば、ポジションに応じたプリフロップレンジでプレイしてきます。ある程度上下しますが、ボタンであれば40%前後の広いオープンレンジ、UTGであれば15%の狭いレンジなどです。それでは、ボタンで15%で狭いオープンレンジでプレイしたり、UTGで40%の広いレンジでプレイすれば相手に読まれないのではと思われるかもしれませんが、ボタンが広いレンジでプレイし、UTGが狭いレンジでプレイするのは、後ろからレイズされるリスクなどを考慮して決まっているものなので、相手に読まれないことだけを目的にそのような戦略を取ることは、基本的に意味はありません。もちろんテーブル全体がタイトすぎるのでUTGから広く参加するなどのアジャストはあります。

アクションライン

プリフロップのレイズ、コールレンジを起点として、フロップのアクションでターンでのハンドレンジを絞り、ターンのアクションでリバーでのハンドレンジを絞ることになります。

このときに以前の動画でご紹介したコンビナトリクスの考え方が使えます。

コールするハンドは〇コンボあって、このコンボはレイズするのでハンドレンジから除外するなどです。プリフロップのレンジとアクションラインの2つがレンジの推定の基本になります。

ショーしたハンド

次に最も重要で最も効果的なのが、過去に相手がショーダウンで見せたハンドです。

例えば、40%のレンジでレイズしているのか30%のレンジなのか、25%のハンドレンジなのかというときに、例えば、K9oでオープンしているのをショウダウンで確認できた場合、このプレイヤーが20~35%のハンドレンジでプレイしていないことが分かります。

ひょっとすると誕生日が9月13日でK9だけハンドレンジに無関係にプレイしている可能性も否定はできませんが、普通の人間は「リニアレンジ」と言って強いハンドから弱いハンドに向かって線型的(リニア)にレンジを広げていくので、そのようなことは考えにくいです。相手にハンドレンジを読ませないために弱いハンドを織り交ぜたポーラライズドレンジを採用することもありますが、その場合に採用されるのは、AXsの弱いものや低いスーティッドコネクターなので、そのようなハンド以外のショーハンドは相手のハンドを推定する強力な手掛かりになります。ライブであればよく記憶し、オンラインであれば、必ずNoteに記入しておくのがよいと思います。

アクションの頻度(ハンドヒストリー)

最後にアクションの頻度です。参加率が高ければハンドレンジも広い、参加率が低ければハンドレンジも狭い、3ベットの頻度が高ければ3ベットレンジも広いとするものです。

確かに相関性は高いですが、注意が必要なのは、ハンドの参加率をレンジの推定に使用するには、かなりのハンド数が必要になるということです。

例えば、3ハンド連続でオープンレイズしてきた場合、参加率が高いのでハンドレンジが広い可能性はありますが、単にいいハンドが3ハンド連続できたのでレイズしているだけの可能性もかなりあります。ライブや低レートのキャッシュゲームでは、先ほどのショーしたハンドでレンジを推定する方法の方がより正確性が高く効果的だと思います。

自分のハンドレンジ

最後に自分のレンジも考慮してプレイしなければならないことを説明したいと思います。自分のハンドは2枚何か分かってるんだからレンジとか関係なくない?と思われるかもしれませんが、そうではありません。

相手が自分をどのようなレンジでプレイしていると想定しているかを認識してプレイすることでプレイの精度が上がります。特にブラフをする場合やバリュ―ベットをする場合に効果を発揮します。相手が想定しているこちらのレンジにマッチしているボードが出ている場合には、ブラフの成功率が上がりますし、相手が想定しているこちらのレンジにマッチしていないボードが出ている場合には、相手がブラフキャッチする頻度が上がりますので、ブラフを控えたりバリューベットを大きくしてもコールしてもらえる可能性が高くなります。

まとめ

以上ハンドレンジについて、ご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

相手のハンドを1点読みでなくレンジで考えるとともに、自分のハンドも見えている2枚ではなくてレンジで考えて、レンジ対レンジのもとでフロップ、ターン、リバーで正しいアクションを選択する、これがレンジで考える第一歩となります。

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